訪問鍼灸マッサージ経営者が語るコロナ対策Zoom座談会


Q:コロナによる業績への影響はどうですか?

中澤です。私は個人で開業しており、主に企業向けの自費治療を行っています。
都内のIT企業等に従業員の福利厚生の一環で治療に入っていたのですが、緊急事態宣言及びテレワークの推進により、軒並み治療に入っていた企業がテレワークにシフトしたため、企業への訪問治療は現在休止しています。

東京都大田区で訪問鍼灸マッサージ事業の他、通所介護、訪問介護、居宅介護支援、訪問看護などを営んでいます。
訪問鍼灸マッサージ事業には10名のスタッフがおり、訪問鍼灸マッサージ事業のみならず、訪問介護や通所介護にて兼務で活躍しているのがスタッフがいることが特徴です。
コロナの影響については、訪問鍼灸マッサージ事業の患者様は8割近くが個人のお客様であることから、コロナの影響で介護施設に立ち入れないことで治療を行うことができないという割合が低いため、売上への影響は2割~3割減となっています。新規の問い合わせはあるものの、患者様の利用控えもあるため売上は現状維持または減少傾向になると予測しています。

オハナ治療院の尾花です。
栃木に治療院があり、訪問鍼灸マッサージ専業で2年半事業運営を行っています。治療院が栃木と茨城、埼玉、群馬の4県の県境に位置しているので、各県による感染拡大の情報を把握することができています。
私どもの利用者も7:3で個人宅が多く、売上は2割減といったところです。
知り合いの事業者にもコロナの影響について話を伺うと、3月末時点で売上が4割減という事業者や、施設での治療をメインで行っていた事業者は7割減という声も聴きました。どこも厳しい状況での運営を余儀なくされていると感じています。


福岡県で有料老人ホームを運営しており、訪問介護や訪問看護、居宅介護支援も併設しています。訪問鍼灸マッサージ事業は開業してから1年経っておらず、様々情報収集しながら運営をしている状況です。
弊社の場合、約8割が当施設のご利用者様を対象としており、併設施設であることから継続的な治療を行えているため売上への影響は軽微です。個人宅への訪問も増やしていこうという戦略を立てていた矢先に緊急事態宣言等が発令されたため、まずは当施設のご利用者様を感染から守るため、当面は施設での治療をメインに行っていくことにしました。

感染リスクを恐れもっと利用控えが進んでいるのかと思いました。

しかし、患者様の視点に立ってみると、訪問鍼灸マッサージのみならず介護サービス等も自粛の影響から受けられない。または一定期間自粛するという方は心身機能の低下が懸念されます。そのため、コロナウイルスの感染リスクと機能低下を天秤にかけなくてはならないような状況もあるのではないかと推測しています。そうならないように、私たちとしては患者様、ご家族様に少しでも安心して訪問施術を受けていただけるように、感染対策を徹底しております。
また、近隣の福祉施設からの情報ですが、施設にて職員1名のコロナウイルス感染者が発生してしまい、その後の入所者様へのPCR検査にて十数名の感染者が発生してしまったという事例について、その後全職員にもPCR検査をすることに至ったそうなのですが、その結果は全職員が陰性だったということでした。これは、全職員さんが感染対策を徹底していたために感染を予防できたという大きな成果なのではないかと捉えています。
コロナに対して私たち医療・介護に携わる職員による徹底した感染対策は有効であると言えるのではないかと考えています。

Q:地域ごとの感染状況と訪問の実態はどうですか?

大田区では2月に区内総合病院にて感染者発生の報道があってから、本日時点で153名の感染者があったとのことです。4月には特別養護老人ホームでも感染者が発生してしまい、併設の施設も休業するなど近隣介護事業所にとっても大きな衝撃がありました。
一方、デイサービスについては、感染拡大防止の観点から、デイサービスの利用を自粛または事業所が休業等をしている場合に、デイサービスの職員が電話や訪問で代替サービスを提供できるという臨時の厚労省通知がありました。
弊社で運営しているデイサービスでは5月より縮小営業とし一部訪問サービスに切り替えてサービス提供をするなど、感染拡大防止に努めています。このような背景から、今後は在宅サービスのニーズが高まってくるのではないかと推測しています。

古河市は現在のところ10数名の感染者が発生しているという情報です。ただ、市中感染ではなく、都心部で感染してしまった方がこちらに戻ってこられたという情報もあるため、街の雰囲気としてはそこまで張り詰めていないかもしれません。
ただ、近隣の介護施設の7、8割は立ち入り禁止になっていますし、2か所ほどデイケアやデイサービスが休業したという情報もあります。その為、訪問リハビリの需要が増えたものの、 PTが不足しているということで、私どものところに相談があったりします。これも今まで築き上げてきた地域連携が一つの形になったと嬉しく感じています。
デイサービスに通われている患者様も多くいますが、やはり皆様利用に関して不安に思っているようです。コロナウイルスの感染拡大が下火になるまでは在宅のほうが安心するという気持ちはあると思います。


Q:具体的にいつからどのような感染症対策をしていますか?

2月中旬に区内で感染者発生の報道があってからすぐに居宅介護支援事業所等在宅ワークに切り替えられる職種は在宅ワークにシフトするなど、職員間での感染予防対策を実践しました。
対策は、厚労省の感染予防ガイドラインや関係する介護・看護団体のガイドライン等を参照して看護師等と設計をしました。
訪問鍼灸マッサージ事業部でいうと、施術者の検温やマスクの着用、手指消毒の携帯等を必須で行っています。前述した通り、事務所内での感染拡大を防止するため自宅を起点とした訪問を許可すると共に、事務所内の同時利用人数を定めるなどの対策も行いました。事務所は、常に換気に気を付け(1時間毎)、2メートル以上席を話すなどに設計しています。
感染者はもとより、感染者との濃厚接触(職員の家族からなど)に該当すると、その職員もお休みしなければならないため、職員間の接触を最小限に抑え、仮に誰かが感染者であっても、患者様へのサービスが途切れないように留意しています。
訪問鍼灸マッサージ事業は患者様の心身機能の維持及び向上のために重要なサービスであることから、まずは職員が感染しない、そして患者様に感染させない。という状況を徹底して作りあげることで、コロナの状況下であっても事業の継続はできると考えています。

私のところは、3月に古河市で初めての感染者が出た時点で感染予防対策に本格的に取り組み始めました。
まずは、マスク、手指消毒用アルコール、次亜塩素酸等を、知り合いの医療関係者経由で調達しました。早めに手配できたので、まだ手に入りました。小分けのボトルも併せて調達し、4月初旬からスタッフやそのご家族、連携している事業所など、お世話になっている方に行き渡るよう配布しました。
追加のマスクや手指消毒用アルコールは、楽天などで納期が遅くて安いものや、早くて高いものなどいろいろと試しに発注したところ、全て届いたことから現状では衛生用品は足りています。
弊社も職員が事務所に集まることは避け、各自自宅等から訪問するなど調整し、家を出るときは必ず検温させるようにしています。


Q:それでもまだ不安に思う利用者はいませんか?

もちろん、コロナウイルスへの感染に不安な方はたくさんいらっしゃいます。ただ、その不安はどのようなことに対してなのか。そしてそれは私達で解決できる可能性のあることなのかについて丁寧にお話とご相談をさせていただくことで解消できる可能性があると考えています。
具体的には、例えば施術者が患者様宅に伺った際、まずは、自分と利用者さんの手を一緒にアルコールジェルにて消毒するようにしています。また、施術後は、ドアノブなど触ったものをすべて消毒してから帰るようすることや出来るだけ換気をすること。患者様が施術中に苦しくない場合は双方マスクをつけるなど。患者様の求めによって最大限の感染対策をすることで、安心感をもって施術を受けてくださる方が増えたと感じています。




本日はありがとうございました。