令和8年あはき療養費改定の疑義解釈解説
令和8年7月6日に、7月からの療養費改定に関する疑義解釈が発出されました。
実際の疑義解釈は、こちら厚労省のページからご確認ください。
今回は、特に重要と思われる箇所を見ていきましょう。
もくじ
①訪問施術料
今回の通知では、実態に則した請求を行うことが強く強調されています。
【マッサージの取扱い】
原則:「訪問」したのに「通所」で算定することは不可
訪問施術を行ったにもかかわらず、訪問施術料を算定せずに「通所による施術料」として請求は認められません。
医師の同意書に「往療を必要としない」と記載されている場合、そもそも訪問での施術を行うこと自体が妥当ではないという認識になります。そのため、訪問して「通所」として請求することはできず、患者が実際に来院した場合のみ算定が認められます。
例外:出張専門施術者の場合
出張専門施術者は治療院を持たず、患者の来院が不可能です。そのため、例外的に「往療を必要としない」同意書であっても、訪問した上で「通所による施術料」を算定することが認められています。
【はり・きゅうの取扱い】
はり・きゅうの同意書には「往療の要・不要」の記載項目がないため、訪問の必要性は施術者の判断に委ねられており、マッサージのような明言はありません。
ただし、「請求は実態に即して行うこと」という原則は同様であり、疑義解釈内でも「出張専門施術者が通所可能な患者に対し施術を行う場合を除き、訪問を行ったのに訪問施術料を算定しないのは適切ではない」と注意喚起されています。
②訪問施術総括表
今回の疑義解釈において、「訪問施術料4」または「訪問施術料5」を算定する際に添付が必須となる『訪問施術総括表』の書き方や取り扱いについて、詳細な見解が示されました。主なポイントは以下の通りです。
・各項目の定義と計算方法について
総括表に記載する「のべ算定(回数)」「回数算定日数」「同一日訪問人数(平均)」など、各項目の定義や具体的な作成・計算方法が示されました。
厚労省からの疑義解釈資料に画像付きの分かりやすい記載見本がありますので、実際に作成される前に必ずご一読をお願いいたします。
・訪問施術と通所施術を混在して算定する場合の人数カウント
訪問施術料4または5の区分を判定するための患者数には、訪問した患者だけでなく「通所による施術患者数」も含めて計算します。
【具体例】
実際に訪問を行い、同一施設にて訪問施術の患者が8人、通所施術の患者が2人の場合
→ 合計10名としてカウントするため、「訪問施術料4」の区分となります。
【例外】
「通所の施術料」を算定する患者が1人、「訪問施術料1」を算定する患者が1人の場合(合計2名)の場合、この限りではありません。
・総括表を添付するタイミングと注意点
総括表は、患者様ごとの実際のレセプト提出月にかかわらず、「その月に実施したすべての訪問施術」を合算して作成し、提出する必要があります。
一部の患者様分が月遅れになる場合でも、当月分の実績としてカウントして作成してください。
なお、すでに訪問施術総括表を提出済みの月について、後から「月遅れ請求」を追加で行う場合、訪問施術総括表の再添付は不要とされています。
③月16回逓減
今回の疑義解釈では、患者様が複数の施術所を利用した場合の「月16回以上の逓減ルール」の取扱いについて、以下の見解が示されました。
【原則】各施術所の回数が15回以内なら「逓減の対象外」
原則として、逓減ルールは「それぞれの施術所ごと」の回数で判定されます。そのため、複数の施術所での合算回数が15回を超えていたとしても、ひとつの施術所での施術回数が15回を超えていなければ、直ちに逓減の対象となるわけではありません。
【注意事項】逓減逃れを目的とした分散は「不適切」
ただし、通知内では「複数の施術所で施術を意図的に分散させることで、月16回以上の逓減基準を実質的に回避するような取扱いは、制度の趣旨に照らして適切ではない」と強く釘を刺されています。
現状では、複数施術所の利用に対して今すぐ厳格な調査やペナルティ等の対応が取られる可能性は低いと考えられます。
しかし、国から「不適切である」との見解が明言された以上、意図的な分散請求が目立つようになれば、次期以降の改定で「複数施術所の合算」に関するルールが厳格化・変更される可能性が十分にあります。
今後の動向には十分な注意が必要です。
④明細書発行加算
本ルールは比較的シンプルです。ただし、公費負担医療制度などにより施術管理者が患者等から一部負担金の支払を受けない場合について、整理しましょう。
・領収証の取扱い:発行不可
領収証は金銭の授受を証明する書類であるため、支払いが「0円」の場合は、原則として領収証を発行することはできません。
・明細書の取扱い:求められた場合は「0円」で交付
明細書については、患者様に施術内容をお知らせするという交付の趣旨を踏まえ、患者様から求められた場合には交付する必要があります。 その際、「一部負担金」の欄には「0円」とご記入ください。
ただし、全額が公費負担であり、「保険請求額」の欄が0円となる場合を除きます。
例えば生活保護の方が該当しますが、こちら対応は該当の役所等にお尋ねいただくのが確実です。
・明細書を交付しない場合の対応:申請書の写しを交付
上記において明細書を交付しない場合は、代替措置が必要となります。毎月、患者様またはご家族へ療養費支給申請書を提示して署名をいただく際に、必ず「申請書の写し(コピー)」を交付するよう記載されています。
⑤オンライン診察同意書
同意書は、文言に若干の変更がありました。特に、裏面を確認することを明記したものですが、病院独自の同意書で「裏面」がない場合の対応はどうなるでしょうか。
【疑問点】
裏面にあたる文章の添付は必須か?
【疑義解釈の回答】
当該裏面を見開きや別紙に印刷するなど、保険医が当該裏面の内容を確認できる状態とする必要がある。
【対応のポイント】
つまり、用紙の構造として必ずしも物理的な「両面印刷(裏面)」である必要はありません。しかし、別紙として添えたり、見開きで印刷したりするなどして、「裏面に記載されている注意事項等の内容を、医師が確実に確認・把握できる状態」を担保することが求められます。
病院独自様式で裏面がない場合は、返戻のリスクもありますので、保険者への確認をお勧めします。
⑥自己施術・自家施術、特別な関係
今回の改定において、現場での解釈が分かれやすく、特に注意が必要なのが「不適切な患者紹介や同意書取得等に係る療養費の支給対象外」に関する項目です。
骨子としては、特定の施術所への患者誘導、または患者による妥当な施術所の選択を阻害する行為の厳格な取り締まりです。
疑義解釈でも複数の見解が示されていますので、必ず内容をご確認ください。
・療養費の「支給対象外」となるケース
以下のいずれかに該当する不適切な行為があり、その結果として行われた施術については、療養費の支給対象外(請求不可)となります。
1)患者の紹介に対する対価の提供
他の事業者(ケアマネージャーや紹介業者など)に金品を提供し、患者の紹介を受けた場合。
※特定の施術所への患者誘導につながる蓋然性が極めて高いため
2)患者の選択の自由を奪う囲い込み
施術所と他の事業者等が特別の関係にあり、実質的に患者による他の施術所の選択ができない場合
3)同意書取得に対する対価の提供
医療機関や医師に対して金品等を提供し、同意書の交付を受けた場合。
・禁止される「金品」の定義について
ここでいう「金品の提供」には、直接的な現金や品物だけでなく、「業務委託料」や「事務取扱手数料」といった名目であっても該当する点に注意が必要です。
名目の如何を問わず、社会通念上妥当とされる範囲を超えており、「実質的に患者の紹介等の対価である」とみなされる金銭等はすべて不正な「金品」に含まれます。
・自家施術(支給対象外)における定義
施術者が自分の家族等に行う「自家施術」も療養費の対象外ですが、その対象となる範囲が以下の通り明記されました。
家族の定義: 同居している、または生計を一にしている(生活費を共有している)者。
関連施術所の定義: 施術者自身が開設している、または勤務している施術所など
細かな項目は、実際の疑義解釈をご参照ください。
⑦ご案内
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