業務コラム
COLUMN

令和8年度療養費改定の見通し

制度改定
公開日 更新日

昨今、療養費改定の案が出されましたが、令和8年度にはかなり大きな改定が予想されます。

まだ、時期も含め本格的な確定情報は出ていませんが、社会保障審議会から出ている資料から、その全貌が見えつつあります。

今回は、実際の改定案として議論されている内容を見ていきます。

〇もくじ

①既存の施術料金の上昇

②訪問施術料4及び5の創設

③16回以上訪問時の減算

④請求書交付料

⑤オンライン同意書の禁止

⑥自家施術の禁止

 

 

①既存の施術料金の上昇

 

療養費改定で最初に気になるのは、価格そのものがどのように変化するかについてでしょう。

現行の案では

 

・マッサージ1局所当たり20円増加

・鍼灸1術40円増加

・鍼灸2術50円増加

 

となり、それぞれの訪問施術料の人数に応じて、既存の価格に上乗せされる形となります。

この辺りは単純にプラス改定ですね。

 

【施術料(1局所・1術、2術)】

項目 現行料金 改定案 差額
マッサージ1局所 450円 470円 +20円
鍼灸1術 1,610円 1,650円 +40円
鍼灸2術 1,770円 1,820円 +50円

 

また、鍼灸初検料も以下のような案となっています。

 

【鍼灸初検料】

項目 現行料金 改定案 差額
鍼灸初検料1術 1,950円 2,000円 +50円
鍼灸初検料2術 2,230円 2,320円 +90円

 

温罨法や電療料、施術報告書交付料や特別地域加算には、特に変更は見られないようです。

 

 

②訪問施術料4及び5の創設

 

こちらは、今回の改定の目玉の一つでしょう。

とはいえ、現行の制度でも

 

・訪問施術料3(3~9人)

・訪問施術料3(10人以上)

 

という、なぜか3が二つある状態でした。その内の片方を「4」にした、と考えればシンプルかもしれません。

さらに新たに「5」を追加して

 

・訪問施術料4(10~19人)

・訪問施術料5(20人以上)

 

という形にしたものです。新設というよりは「リメイク+追加要素」という表現もできるかもしれませんね。

 

【訪問施術料の変更点】

区分(対象人数) 現行名称 改定案 変更点
1人 訪問施術料1 訪問施術料1 なし
2人 訪問施術料2 訪問施術料2 なし
3~9人 訪問施術料3 訪問施術料3 なし
10~19人 訪問施術料3 訪問施術料4 19人まで枠を設け「4」に変更
20人以上 訪問施術料3 訪問施術料5 20人以上の枠を設け「5」に変更

 

かねてから、施設内において一度に大人数を施術する形態に、当局や保険者から懐疑的な声が多かった模様で、その声を形にして対策を練った、ということでしょう。

 

さらに、「訪問施術料4及び5を算定する施術所における訪問施術のうち、特定の施設において行われるものが訪問施術の9割以上である場合には、当該施設における訪問施術の料金(一連の施術において算定される全ての料金)について100分の80に相当する額により算定」という案も出ています。

本気で対応を検討していることが窺えますね。

 

 

③16回以上訪問時の減算

 

今回の改定における、一番大きな変更かもしれません。私も初めて見たときは、「なるほど」と納得したことを思い出します。

現状、当局で問題視されている項目が

 

・一施設での大人数の施術

・長期頻回施術

 

であり、さらに上記二つを組み合わせて運営がなされているケースがあり、「療養費の支給基準としては不適切ではないか」という議論がなされていたのですが、その回答になる対応ですね。

 

内容としては、「ひと月に16回以上訪問した場合、16回目の施術分からは一律50%に減算して計算(特別地域加算は除く)」というものです。

これが実施されれば、不適切な長期頻回施術に対する強い牽制になるでしょう。

もっとも、真に必要で施術に入っている場合は単純に大きなマイナスとなりますので、事業所としては悩ましいところもありますね。

 

ちなみに、「1年以上月16回以上施術継続理由・状態記入書」に関しては、継続されるか廃止されるかは、現状不透明です。

 

 

④明細書発行加算

 

施術の内容がわかる明細書を無償で発行した場合に10円を算定する、というものです。

明細書の発行は毎回行う場合と、患家の求めに応じ月に1回発行する場合がありますが、毎回10円算定可能なのか、月に1回のみ可能であるかは現状不透明です。

議事録には、

 

実際問題として、特にマッサージのほうは訪問が多い実情になっていて、毎回、一部負担金の精算を行っていないというところがあります。というのは、例えば訪問施術料3のつもりで行ったら1人入院していて、訪問施術料2を取るとか、そういったこともあって、では、前もって、その日、1日分の明細書を持っていっても、実はそうではないということがあるのは頻繁にあることです(中略)実態に合わせた運用をしていただければいいのではないかと思っております。

 

 

という意見も出ていますので、本件に関しては議論の余地が多く残されている印象ですね。

 

 

⑤オンライン同意書の禁止

 

こちらですが、今回はかなり厳しく禁止される可能性が出てきています。

まず前提として、マッサージの同意書は「筋麻痺・筋萎縮」「関節拘縮」「歩行困難」が、鍼灸の同意書は「慢性疼痛を主とする疾病」が交付の要件となっています。

 

2020年からの新型コロナの流行以来、対面形式ではなくオンライン診療の件数も増加したことだと思われます。

そして同意書取得に関してもこのオンライン診療が明らかに目立ち始めました。極端な例では、沖縄の治療院なのに医師住所が東京のレセプトが複数ある、といった要領です。

この件で、実際に個別指導が入ったケースも聞いています。

 

オンライン診療の問題点として

 

・筋麻痺・筋萎縮や関節拘縮、歩行困難、慢性疼痛を正確に診断できるか否か

・同意書取得ビジネスの横行

 

といったものがあり、適切な同意書取得要件が守られていない、という懸念点が挙がっています。

そのため、最も厳しい意見として、「オンライン診療の同意書は完全に禁止すべき」という議論が有力となっている形です。

 

 

⑥自家施術の禁止

 

自分の身内が同意書を取得し、その施術を行い療養費を請求するケースがありますが、今回から禁止される可能性があります。

加えて、同法人が有している有料老人ホームなどの施設への施術も無効とされる見込みです。

 

 

 

このように、複数の大きなルール改定が議論されています。

全体を通し、施設などに一度に大量かつ頻回の施術を行って、療養費の請求額が不適切に上昇してしまっている事例への対策を、徹底的に行っていることが見て取れます。

2024年の改定でもその性格は強く出ていましたが、さらに一歩進めた印象ですね。

 

確定情報が出ましたら、また何らかの形でお知らせさせていただればと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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